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糸バリからプレスバリまで!バリ取りの全種類を徹底解説
2025.07.07
製造現場で避けて通れない課題の一つに「バリ」があります。バリとは、金属や樹脂などの加工工程で生じる不要な突起物や毛羽状の部分のことで、そのまま放置すると製品品質の低下や組付け不良、作業者のケガなど様々なトラブルの原因となります。そこで本記事ではバリ取りの種類や主要なバリ(糸バリ、プレスバリ、切削バリ、鋳造バリ、樹脂バリ)の発生原因と、それぞれに適したバリ取り方法(除去方法)を徹底解説します。さらに、最新のバリ取り技術・自動化動向にも触れ、弊社トーバン工業(創業150年以上)のバリ取り機製品の特長や利点も紹介します。現場担当者の皆様が日常業務で活かせる実用的な情報をお届けします。
糸バリとは?発生原因と除去方法
糸バリとは、名前の通り糸のように細いバリを指し、加工後のエッジに毛糸状・髪の毛状の微細な突起が残ったものです。主に切削加工(穴あけ、フライス加工など)で発生しやすく、工具が材料を切り終わった際に材料の一部が伸びて残留することで生じます。例えばドリルで穴開けした際、最後の瞬間に切り屑が完全に離れず薄くつながってできるヒモ状のバリが典型です。原因としては工具の摩耗や切れ味低下、切削条件の不適切(送りが速すぎる等)によって素材が塑性変形し、切り残りが外側に押し出されてしまうことが挙げられます。糸バリは非常に細かく一見無害に思えますが、放置すると後工程で脱落して製品内部に混入したり、組立の精度を狂わせる原因にもなるため、確実な除去が必要です。
糸バリの除去方法としては、手作業や微細バリ対応の研磨方法が適しています。熟練者がカッターナイフやデバリングツールで軽くエッジをさらう「糸面取り」によって、0.1~0.3mm程度のごく小さなバリを除去するのが一般的です。他にもナイロンブラシや超音波洗浄などで細かいバリを取り除く方法があります。大量生産の場合は、自動機によるエアーブラスト(砂やドライアイス粒子を噴射)で微細バリを一括除去する技術も活用されています。糸バリは小さいとはいえ、確実にバリ取りしておくことで製品の信頼性向上につながります。
プレスバリとは?発生原因と除去方法
プレスバリとは、板金の穴あけやせん断・曲げ加工(プレス加工)で生じるバリのことです。せん断加工時のバリとも呼ばれ、パンチとダイ(型)の間隙で素材が引きちぎられる際に発生します。プレス金型の刃先が摩耗していたり、クリアランス(隙間)設定が不適切だと、大きなバリが発生しやすくなります。また芯ずれやプレス機の平行度不良などで、一方の側だけに偏った「片バリ」になるケースもあります。プレスバリは板金部品のエッジに鋭い段差や突起として残り、厚み方向にテーパー形状(上下面でサイズが異なる断面形状)を伴うのが特徴です。放置すると組付けや測定の邪魔になるだけでなく、エンドユーザーのケガの原因にもなりかねません。
プレスバリの除去方法としては、ヤスリやベベラーでの面取り、もしくは専用のバリ取り機を用いる方法があります。比較的少量なら、作業者がヤスリでエッジを約45度に落としてバリを削り取るのが一般的です。しかし大量生産や厚板のプレスバリ除去では、平面研削盤やベルトサンダーで研削する、バレル研磨で一括処理する、といった機械的手法が有効です。近年は自動バリ取り機(例:ブラシヘッドや研磨ホイールを備えた装置)に製品を投入し、上下から同時にバリを研磨除去する設備も普及しています。トーバン工業の「BURRY TACK」シリーズにも、プレス品に幅広く対応した自動バリ取り・バフ研磨機があります。このような機械を使えばプレスバリの除去方法が標準化され、均一な仕上がりと生産性向上を両立できます。
切削バリとは?発生原因と除去方法
切削バリとは、フライスや旋削、穴あけ加工など機械加工全般で生じるバリの総称です。工作物のエッジ部分に発生する「かえり」であり、切削工具が素材から離れる瞬間に素材の一部が塑性流動してエッジに残留することで発生します。具体的には、加工開始時にできるエントランスバリ、加工中に側面にできるサイドバリ、加工終了時に出るロールオーバーバリなど、形態によって分類されます。切削バリは大小様々ですが、延性の高い金属ほど大きなバリ(ロールオーバーバリ)が生じやすい傾向があります。発生原因は工具の切れ味不良や切込み深さ・送りの不適などで、素材を完全に削り切れず押し出してしまうことに起因します。また硬い材料や靭性の高い材料では、どうしても微小なバリは避けられません。
切削バリの除去方法は多岐にわたります。加工機上で面取りカッターを使用して同時にエッジを面取りする方法や、回転ブラシで切削後すぐにバリを払う自動化技術も登場しています。オフラインでは、手仕上げによるヤスリがけやナイフでのバリ取りが細部には有効ですが、大量生産では機械的除去が主流です。専用のバリ取り機やロボットアームに装着した工具で自動的にバリを削り取れば、作業効率が高く安定した品質で処理できます。他にも、化学的バリ取り(エッチング)は複雑形状や微細穴のバリ除去に有効で、酸やアルカリの薬品でバリ部分を溶解します。また高圧水流によるウォータージェットは樹脂やアルミの薄いバリ除去に適し、レーザー照射によるバリ焼き切りは熱影響が小さく精密部品に有効です。切削バリは発生をゼロにするのが難しいため、部品形状に応じた適切なバリ取り方法の選択が重要です。
鋳造バリとは?発生原因と除去方法
鋳造バリ(鋳バリ)とは、金属の鋳造工程で発生するバリで、鋳物の型合わせ面(パーティングライン)に沿ってできる薄い膜状の突起です。鋳物を作る際、上型と下型の合わせ目の隙間や湯口・ランナー周りから溶融金属が漏れ出し、それが固まることでフラッシュ状のバリとなります。原因は金型(鋳型)の老朽化や隙間、あるいは湯温・鋳造圧力が高すぎる場合に材料が押し広げられて発生するケースが多いです。鋳造バリは比較的厚みがあり、鋳物製品の周囲に「縁」のようについて現れます。放置すると寸法が狂うだけでなく、製品の外観不良や手傷の原因となるため、必ず除去しなければなりません。
鋳造バリの除去方法は、まず鋳造後の仕上げ作業として手工具や機械でバリを削り落とすのが一般的です。例えばダイカスト製品では、金型から出した後にトリミングプレスで余剰部分を打ち抜いて除去します。また砂型鋳造品などでは、ディスクグラインダーやベルトグラインダーでバリを研削したり、ヤスリでの手仕上げを併用して滑らかに仕上げます。大量の小型部品の場合、バレル研磨にかけて一括でエッジを落とす方法もあります。近年は、複雑形状の鋳物バリにはサーマルデバリング(熱処理バリ焼却)を適用する例もあります。これは密閉容器内で混合ガスを点火し、一瞬でバリだけ燃焼させる方法で、小さな鋳バリ除去に有効です。鋳造バリは比較的大きい場合が多いので、除去後の表面仕上げ(バフ掛けやショットブラスト)も行い、製品の外観や機能を整えることが重要です。
樹脂バリとは?発生原因と除去方法
樹脂バリ(プラスチックバリ)とは、樹脂成形品、とりわけ射出成形で生じるバリです。基本的な発生メカニズムは金属鋳造の場合と同様で、金型の合わせ目やピンの隙間から溶けた樹脂がわずかに漏れ出し、薄い膜状に固まったものです。射出成形では、新品金型でも樹脂の充填圧力や温度条件によってはごく薄いバリが発生することがあります。主な原因は型締め力の不足、金型合わせ面の精度不良、射出圧・樹脂温度の過多などで、複雑形状の製品や大型製品ほどバリが出やすくなります。樹脂バリそのものは紙のように薄く柔らかい場合も多いですが、製品の外観を損ねたり、組立時の勘合不良につながるため無視できません。
樹脂バリの除去方法は、まず成形条件の最適化で発生自体を抑制することが肝要です。それでも出てしまったバリは、成形後のトリミング作業で取り除きます。例えば成形機から出た直後にエアニッパーでランナー部と一緒にバリを切り落とす、作業者がデバリングナイフで削ぐ、などが一般的です。小型部品では、バリ取り治具を用いて複数個を同時にトリミングする効率化も行われます。また、ゴム製品や熱硬化性樹脂では、製品を冷凍してバリを脆化させショットブラストで飛ばす低温バリ取り(クライオジェニックデバリング)が有効です。プラスチックの微細バリには先述のウォータージェットも活用されます。樹脂バリは金属ほど硬くはないものの、製品美観や性能維持のため確実に除去することが求められます。
トーバン工業のバリ取り製品の特長と各バリへの対応力
創業1860年(文久年間)という長い歴史を持つ弊社トーバン工業株式会社は、バリ取り機・研磨機・洗浄機の総合メーカーです。弊社の製品「バリタック(BURRY TACK)」シリーズは、もともと金属板の打ち抜き加工や切断で発生するバリを自動処理できないかという発想から開発されました。現在では単なるバリ取りに留まらず、精密表面仕上げ(バフ研磨)まで兼ね備えた複合機として進化しており、自動投入から研磨・洗浄・乾燥・搬出まで一連のインライン工程を構築できる点が大きな特長です。これは弊社独自の特許技術(高速回転する研磨ホイールの芯ブレを抑える特殊チャック方式)によって実現されたもので、高精度かつ安定した研磨・バリ取り加工が可能です。
弊社バリ取り機の利点は、各種バリにオールマイティに対応できるラインナップを揃えていることです。例えば、プレスバリやレーザー加工品のバリには、乾式・湿式両タイプの「BURRY TACK III-CT 型」が幅広い材質・形状に対応します。この機種は薄板から厚板まで均一にエッジを処理でき、プレス加工特有のせん断バリ除去に威力を発揮します。微細な糸バリや切削バリの仕上げが必要な板金ワークには、「BURRY TACK II-CT 型」(乾式/湿式)が最適で、精密仕上げ用に開発されています。一方、メッキ鋼板や保護シール付きの製品には、専用機「BURRY TACK PB 型」が対応しており、従来困難だった表面コーティング材付きの板材でもバリ取りと表面保護を両立できます。また、自動車部品のクラッチプレート等の厚みのある加工品や鋳造バリには、湿式タイプの「BURRY TACK III-R 型」が面粗さ改善も含めて効果を上げています。さらに、特殊形状品には「BURRY TACK SP 型」という異形ワーク用バリ取り機が用意されており、複雑形状部品のバリにも対応可能です。このように弊社製品は、小物部品から大型板金まで、多様なバリ取りニーズをカバーしている点が強みです。
加えて、弊社バリ取り機はバフ研磨機能を備えているため、バリを除去するだけでなくエッジの面取りや表面の光沢仕上げまで同時に行える点も現場にとってメリットです。自動機ならではの均一な仕上がりと高い再現性で、手作業よりばらつきの少ない品質が得られます。実際に同社の機械を導入した現場では、「作業者の負担が軽減され、生産効率が向上した」「研磨とバリ取りが一台でできるので工程短縮になった」といった評価が聞かれます。また、創業以来培ってきた研磨技術と実績により、試加工やサンプル研磨を行い最適な機種提案をするサポート体制も整っています。バリ取りの課題でお困りの際は、是非ご相談ください。
以下の弊社製品は、自動バリ取りを非常に得意としております。