お役立ち情報
USEFUL
【2025年最新】バリ取り機導入時に活用できる補助金・助成金情報
2025.03.04
製造業では、金属部品のバリ取り作業に多くの人手と時間がかかり、生産現場の負担になりがちです。しかし、近年は バリ取り機(自動バリ取り装置) を導入することで作業を自動化し、省力化・効率化を図る企業が増えています。とはいえ、バリ取り機の導入にはまとまった設備投資が必要になるため、費用面で導入を躊躇するケースもあるでしょう。そこで本記事では、中小企業がバリ取り機導入時に活用できる補助金・助成金について解説します。特に注目の「中小企業省力化投資補助事業(一般型)」を中心に、その概要や申請方法、採択のポイント、活用事例をわかりやすく紹介します。ぜひ設備導入の参考にしてください。
※実際に活用を検討する際は、必ず公式の案内や最新の公募要領を確認してください。
>> 中小企業省力化投資補助金 公式サイト
中小企業省力化投資補助事業(一般型)の概要
まず、本記事で中心的に紹介する「中小企業省力化投資補助事業(一般型)」の概要について説明します。
中小企業省力化投資補助事業(一般型)は、人手不足に悩む中小企業等がIoT機器やロボットなどのデジタル技術を活用した設備を導入し、生産プロセスの省力化や自動化を図る際に、その費用の一部を国が補助してくれる制度です。つまり、バリ取り機のように労働力不足の解消に効果がある設備投資であれば、この補助金の対象となり得ます。補助事業の目的は、中小企業の生産性向上や付加価値額向上を支援し、ひいては従業員の賃上げにもつなげることにあります。
補助対象者(誰が申請できるか)は、中小企業者や小規模事業者といった企業のほか、一部の中堅企業やNPO法人、社会福祉法人等も含まれています。製造業の経営者であれば、自社が中小企業基本法上の「中小企業」または「小規模企業者」に該当すれば申請可能です(製造業の場合、中小企業は従業員300人以下等、小規模事業者は従業員20人以下等の定義があります)。
補助対象となる経費・事業は、「個別現場や事業内容に合わせた設備導入・システム構築」です。オーダーメイドの設備でもソフトウェア導入を伴うシステムでも、現場の省力化に資するものであれば柔軟に対象になります。バリ取り機導入もまさに現場の省力化投資の一例であり、補助対象として適合します。
補助率と補助金額の上限も押さえておきましょう。一般型の場合、企業規模に応じて補助金の上限額が定められており、例えば従業員5人以下の企業では上限750万円(一定条件下では1,000万円)、6~20人では1,500万円(同2,000万円)、101人以上の企業では8,000万円(同1億円)と最大1億円の補助が受けられます。補助率は基本的に1/2(補助対象経費の半額)ですが、小規模事業者等では2/3に引き上げられるケースもあります。また、一部経営条件(大幅な賃上げ実施等)を満たすと補助上限額が上乗せされる特例もあります。
要するに、中小企業省力化投資補助金(一般型)は「設備投資費用の約半分(場合によっては2/3)を国が補助してくれる、大型の支援制度」です。中小企業にとって導入ハードルの高い高額な省力化設備でも、この制度を利用すれば費用負担を大きく軽減できる可能性があります。製造現場の生産性向上策として、バリ取り機導入と本補助金の組み合わせは非常に有効と言えるでしょう。
申請方法やスケジュール
次に、この補助金の申請方法やスケジュールについて解説します。補助金を活用するには、公募期間中に所定の手続きを踏んで申請し、採択(交付決定)を受ける必要があります。
申請の流れは大まかに以下のようになります。
1. 事前準備
自社の現状分析や導入したい設備の検討を行い、補助事業の計画を立てます。補助金公式サイトから公募要領や申請様式(事業計画書など)を入手し、内容を確認します。事業計画には、導入設備によってどの程度の省力化・効率化が見込めるか(省力化効果)や、投資回収見込み(ROI)などを盛り込む必要があります。バリ取り機の場合、導入によって削減できる作業時間や人員負荷などを具体的な数値で示すと良いでしょう。
2. 応募・申請
補助金の公募期間中に電子申請システム(補助金申請ポータル)から応募します。2025年度の一般型では、第1回公募からオンライン申請が必須となっており、事前に電子申請用のID発行やシステム登録が必要です(※他の補助金同様に「gBizID」などの取得が求められる可能性があります)。第1回公募では実際のポータル受付開始日が2025年3月19日、締切は3月31日17時と設定されました。公募要領で指定された事業計画書や財務諸表など必要書類をシステム上で提出します。書類不備がないよう十分注意しましょう。
3. 審査・採択結果の通知
応募締切後、事務局による書類審査・採点が行われます。採択結果(どの企業の申請が採択されたか)は、公募締切から約2~3か月後を目安に公表されます。2025年の第1回公募では採択発表は6月中旬と予定されています。採択されると交付手続きへ進みます。
4. 交付決定・事業実施
採択後、正式に交付が決定すると補助事業の実行開始です。ここで初めて機械の発注や購入契約を行います(※注意:交付決定前に機械を購入した場合、その費用は補助対象になりません)。バリ取り機の製造メーカーや販売業者と契約し、導入工事や試運転を経て設備を稼働させます。補助事業の実施期間は交付決定日から概ね1年半(18か月以内)に設定されており、その間に設備の導入と稼働、支払いまで完了させる必要があります。
5. 実績報告・補助金受領
設備導入後、所定の様式で実績報告書を提出し、当初の計画通り事業が完了したことを報告します。事務局による確認を経て問題なければ、後日補助金が支払われます(※補助金は後払いが基本です)。このとき、支出証拠(請求書・領収書等)や導入設備の稼働状況などを示す必要があります。
公募スケジュールについて補足すると、中小企業省力化投資補助金(一般型)は年に3~4回程度、公募(申請受付)の機会が設けられる予定です。例えば2025年度は第1回公募が3月締切で実施されましたが、今後も第2回、第3回…と複数回チャンスがあります。一度締切を逃しても次回の公募に向けて準備すれば再挑戦できます。ただし各回の公募期間は比較的短く設定される傾向があるため(第1回は実質約2週間程度の申請期間でした)、公募開始の情報を見逃さないように注意が必要です。公式サイトの新着情報やメールマガジン、関連機関からの案内などをチェックし、スケジュールを把握して早め早めに準備することが成功のカギです。
採択のポイントや注意点
補助金の申請を成功させるには、採択されるためのポイントを押さえ、注意点に留意して計画を練ることが重要です。中小企業省力化投資補助事業(一般型)では特に次のような点が審査・採択に影響します。
- 省力化の効果を明確にする:補助事業の目的が「人手不足の解消」「生産性向上」にありますので、申請計画では導入するバリ取り機によってどれだけ作業が効率化されるかを具体的に示す必要があります。例えば、「手作業で月◯時間かかっていたバリ取り工程が自動化により△時間削減でき、人員に換算して〇人分の労働を省力化可能」など、定量的な効果を盛り込みましょう。定性的にも「職人技に依存していた品質のばらつきが解消され、安定した製品品質が確保できる」といったメリットも付加すると説得力が増します。
- 労働生産性・付加価値の向上目標:審査では数値目標の達成見込みも重要です。本補助金では「労働生産性を年平均+4%以上向上させる」ことや、「従業員の給与総額を一定水準以上に増加させる」こと等の基本要件が定められています。申請時には、自社の事業計画期間内でこれらの目標を達成する計画であることを示す必要があります。例えば「3年間で労働生産性を▲%向上し、一人当たり賃金を▲%アップさせる計画」等です。これらの数値目標に現実性があり、設備導入によって達成できそうだと判断されれば加点要素となります。逆に達成が疑わしい計画だと採択は厳しくなりますので、無理のない範囲で高い目標を設定し、その根拠を示すことが大切です。
- 賃上げなど政策目標への寄与:政府の補助金である以上、国の政策目標への寄与も評価されます。最低賃金の引上げに取り組む企業には補助率が優遇されたり(中小企業であっても2/3補助を受けられる特例)、補助上限額が引き上げられる仕組みがあります。余力があれば賃上げ計画や人材育成策なども計画書に盛り込むと良いでしょう。ただし、採択後にこれらの要件を満たせなかった場合、補助金の一部返還といったペナルティもあります。計画した賃上げ等は確実に実行するという覚悟で申請してください。
- 事業計画の具体性・実現可能性:審査員は提出された事業計画書を読み、事業内容の妥当性や実現性を評価します。計画はできるだけ具体的に、かつ実行可能な内容にしましょう。バリ取り機の機種選定理由、導入スケジュール、人員体制、投資対効果の試算(◯年で費用回収可能など)も記載すると評価が高まります。また、企業の財務状況も間接的に影響します。補助金は後払いのため、一旦は全額自己資金や融資で賄う必要があります。自社の自己資金や資金調達計画も踏まえ、無理のない予算組みを行いましょう。
- 他の補助金との重複不可や対象外経費:注意点として、同一の設備について他の補助金との併用(重複受給)はできません。例えばこの補助金でバリ取り機の費用補助を受けるなら、同じ機械を別の国の補助金(ものづくり補助金等)に申請することはできません。また中古機械の購入費用は対象外です。新品の機械購入が条件となります。さらに消費税分は補助されないなど細かなルールもあります。申請前に公募要領を熟読し、対象外となる経費や禁止事項(例:交付決定前の発注禁止、補助金の不正利用禁止等)を確認してください。
以上のポイントを踏まえ、「省力化効果」「生産性・賃金向上」「計画の具体性」をしっかりアピールすることが採択への近道です。採択率について正式な発表はありませんが、新設された補助金で予算規模も大きいため、適切に要件を満たす計画であれば比較的採択されやすいとの見方もあります。とはいえ油断せず、万全の準備で臨みましょう。
バリ取り機導入における補助金活用の具体例
それでは、実際にバリ取り機を導入する際に補助金を活用した場合の具体的なイメージを示してみます。
例えば、従業員10名程度の板金加工会社が、新たに自動バリ取り機を導入すると仮定します。導入を検討している機種の価格が600万円だったとしましょう。この企業は従業員20名以下ですので中小企業省力化投資補助金の一般型における「小規模事業者等」に該当し、補助率2/3が適用可能なケースです(通常は1/2ですが、小規模企業は上限額1500万円まで2/3補助)。仮に補助率1/2で試算してみても、600万円の設備投資に対して300万円が補助され、自己負担は残りの300万円で済みます。実質半額の負担で最新のバリ取り機を導入できる計算です。補助率2/3であれば会社負担は200万円となり、負担額はさらに小さくなります。
この会社では従来、熟練作業者がグラインダーやヤスリで手作業バリ取りを行っており、月に延べ200時間程度をバリ取り工程に費やしていました。導入するバリ取り機により、この作業負担を最大で70%以上削減できる見込みです。具体的には、手作業では一部品あたり5分かかっていた処理が機械では1~2分で完了するため、生産量にもよりますが月あたり140時間以上の工数削減が期待できます。これは従業員約1人分の作業時間に相当する労働力を他の業務に振り向けられることを意味します。実際に補助金申請では、こうした数値を盛り込み「○○の工程で△△時間/年の省力化」などと記載しアピールします。
さらに品質面でも、機械導入により仕上がり品質の安定やバリ残りによる不良削減といった効果が得られます。手作業では作業者によって仕上げ精度にばらつきが出ることもありましたが、自動バリ取り機なら均一な仕上げが可能です。その結果、製品不良の減少や安全性向上(鋭利なバリ残りによるケガ防止)にもつながります。このように、単なる人件費削減だけでなく品質改善や納期短縮など多面的なメリットをアピールできると良いでしょう。
補助金を活用して費用負担を抑えつつ設備投資を行えたことで、同社は浮いた人手と時間を他の生産工程や新製品開発に振り向けることができ、生産性全体の底上げを実現しました。結果として従業員への還元(給与アップ)も行い、補助金の要件もしっかり満たしています。このケースは仮想の例ですが、実際にバリ取り機メーカーの導入事例でも「ものづくり補助金」や本補助金を活用してコスト負担を減らし、生産効率アップに成功した企業が数多く報告されています。ぜひ自社の状況に当てはめて、補助金活用によるメリットを検討してみてください。
まとめ~活用のポイントと最新情報の確認方法
バリ取り機の導入を検討する製造業の経営者に向けて、活用可能な補助金制度「中小企業省力化投資補助事業(一般型)」を中心に解説しました。最後に重要ポイントを振り返ります。
- 中小企業省力化投資補助事業(一般型)は設備投資費用の1/2(場合により2/3)を補助してくれる大規模な制度です。バリ取り機導入のような省力化投資に非常にマッチし、企業規模次第では最大1億円もの補助金を受け取ることも可能です。設備導入コストを大きく削減できるため、資金負担がネックで導入を迷っている場合には強い追い風となります。
- 申請にあたっては早めの情報収集と準備が鍵です。公募期間は年に数回ありますが短期間で締切となるため、事前に公募要領を読み込み、事業計画書などの書類を整えておきましょう。また申請内容では「省力化効果」「生産性・賃上げ向上」「計画の具体性」をしっかり示すことが採択のポイントです。導入メリットを定量的に示しつつ、実現可能で魅力的な計画を作成してください。
- 導入後のフォローも重要です。補助金で設備を入れた後は、計画どおりの効果を上げるよう運用に努め、報告・実績管理をしっかり行いましょう。特に賃上げ等の公約については必ず実行し、従業員や企業全体に良い循環を生むことが大切です。それが結果的に次回以降の補助事業(別の補助金申請等)でも信用につながります。
- その他の補助金・助成金の活用も検討しましょう。国の補助金は本事業の他にも、「ものづくり補助金」や「事業再構築補助金」、「省エネ補助金」など製造業の設備投資に使える制度が複数あります。また自治体独自の設備導入助成金が用意されている場合もあります。自治体の要項で「生産性向上」「作業効率化」などバリ取り機に通じるキーワードが含まれていれば、対象となる可能性があります。自社の所在地や事業内容に合った他制度も併せて調べてみると良いでしょう。
最後に、最新情報の確認方法についてです。補助金制度は年度ごとに公募時期や条件が変更になることがあります。本記事の内容も執筆時点の情報に基づいており、今後制度変更があり得ます。実際に活用を検討する際は、必ず公式の案内や最新の公募要領を確認してください。
>> 中小企業省力化投資補助金 公式サイト
不明点があれば地域の商工会・商工会議所や専門のコンサルタント等に問い合わせるのも有効です。準備を万全にして補助金を賢く活用し、バリ取り機導入による生産性アップをぜひ実現してください。