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【バリ取り機のブラシ選定ガイド】最適なブラシを選ぶポイントとは?

2025.04.03

製造現場で製品の品質を左右する「バリ取り」工程。中でもブラシ選びは仕上がりに大きく影響します。適切なブラシ素材・種類を選定し、バリ取り機との相性を最適化することで、作業効率と仕上がり精度が格段に向上します。この記事では、ブラシ素材ごとの特長と選定ポイント、ブラシとバリ取り機の相性の重要性、そして当社トーバン工業の強みである自社開発体制と特許技術について解説します。バリ取り工程に携わる技術者や調達担当の方々が、現場で役立てられる情報を分かりやすくまとめました。


ブラシ素材別の選定ポイント

バリ取りに使用されるブラシの毛材には様々な種類があり、それぞれ適した被加工材特徴が異なります。代表的なブラシ素材(鉄製、ステンレス製、ナイロン製、樹脂製)ごとの選定ポイントを押さえておきましょう。

鉄製ブラシ(スチールブラシ)
  • 特長
    鉄(スチール)製のワイヤーブラシはコシが強く研磨力が高いのが特徴です。錆びた鉄板のサビ落としや塗装の剥離、溶接後のビード磨きなど、比較的粗いバリや汚れの除去に適したパワフルなブラシです​。
    高速回転させれば金属表面をハンマーで叩くような効果(ショットピーニング効果)も得られ、表面を硬化させることも可能です​。
  • 適用材
    鉄系のワーク(鋼板や鋳物など)に適しています​。基本的には被加工材と同じ材質のブラシを使うのが望ましく、鉄素材には鉄ブラシが相性良好です​。
  • 注意点
    アルミやステンレス、真鍮など非鉄金属のワークにスチールブラシを使うのは避けましょう。スチールブラシの鉄粉がワーク表面に付着すると後で錆の原因になります​。
    また硬いブラシだけに素材への攻撃性も強く、表面に傷を付けやすいため、仕上げ具合に応じて加圧や回転数を調整する必要があります​。
ステンレス製ブラシ
  • 特長
    ステンレス製のワイヤーブラシは耐食性・耐熱性・耐酸アルカリ性に優れているのが特長です​。
    鉄ブラシに比べて錆びにくく、化学的に安定しているため、幅広い環境で使用できます。コシや硬さは鉄ブラシと同程度かやや劣るものの、高張力のステンレス線を使った製品は疲労強度も高く、安定したブラッシングアクションが可能です。
  • 適用材
    アルミニウム、銅合金、チタン、ステンレス鋼
    など、鉄以外の金属ワークにも適したオールマイティな金属ブラシです​。
    ステンレス素材のワークには同材質のステンレスブラシを使うことで、異種金属腐食やもらい錆を防止できます。特に錆の発生を極力避けたい工程ではSUS316など耐食性の高いステンレス線材のブラシが推奨されます​。
  • 注意点
    テンレスブラシは鉄ブラシ同様に硬く研磨力が高いため、対象物によっては削りすぎや表面の傷つきに注意します​。塗装面や仕上げ面に使う際は軽めのタッチでブラッシングし、必要以上に母材を削らないようにしましょう。また、ステンレスとはいえ金属粉の付着は起こり得るため、食品設備など衛生面が重要な場合は使用後の洗浄やチェックを行うと安心です。
ナイロン製ブラシ(砥粒入りナイロンブラシ)
  • 特長
    ナイロン製ブラシは合成樹脂(ナイロン樹脂)の繊維でできたブラシで、さらに研磨粒子(砥粒)を含浸させたタイプがバリ取りによく使われます。弾力性・柔軟性が高く、毛先だけでなく側面でも研磨できるのが特長です​。軽くワークに押し付けると繊維がしなりながら“ワイピングアクション”と呼ばれる擦り動作を行い、ヤスリ掛けのような微細なバリ取り・エッジの面取りが可能です​。従来は手作業に頼っていた小さなバリや仕上げ加工も、砥粒入りナイロンブラシを使えば安定して簡単に自動化できます​。
  • 適用材
    樹脂や木材などの非金属ワーク、およびアルミや真鍮などの比較的軟らかい金属
    のバリ取り・研磨に向いています。ナイロンそのものは比較的柔らかい素材のため、ワークを傷つけにくく繊細な仕上げが必要な場合に適しています​。例えばプラスチック成形品の薄いバリ取りや、メッキ鋼板の表面を傷付けずバリだけを除去したい場面などで威力を発揮します。加えて、微細な交差穴のバリなど複雑形状の細部にも繊維ブラシが馴染みやすく、安定してエッジのバリを除去できます​。
  • 注意点
    硬度や研磨力は金属ブラシより劣るため、大きく硬いバリの除去には不向きです​。頑固なスケールや厚みのあるバリにナイロンブラシを使っても砥粒が負けてしまい、作業効率が上がりません。また回転数の設定にもポイントがあり、金属ブラシのように高速で当てるとかえって効果が下がる場合があります​。砥粒入りナイロンブラシは低めの回転数でじっくり押し当てる方が滑らかな仕上がりになるため、機械の設定をブラシ特性に合わせることが重要です​。
樹脂製ブラシ(プラスチックブラシ)
  • 特長
    樹脂製ブラシとは、ナイロン以外のプラスチック素材(ポリプロピレンやポリエチレンテレフタレートなど)の毛材を使ったブラシです。化学繊維ブラシ全般とも言えますが、砥粒を含まないソフトなブラシから、研磨粒子を混ぜ込んだ樹脂製研磨ブラシまで様々な種類があります​。総じて吸水性が低く耐薬品性に優れる素材が多く、湿潤環境や化学薬品を使うプロセスでのブラッシングに適しています​。ナイロンより腰が強く摩耗しにくい素材もあり、長寿命で安定したブラッシングが可能です。
  • 適用材
    ラスチック製品や塗装面、ガラス材など、傷を極力避けたい被加工物
    に向いています。例えば樹脂製品の組み立て前に微細なバリや粉を払う用途や、液晶パネル・ウエハの洗浄用ブラシなど、精密洗浄や微小バリ取りに樹脂系ブラシが広く活躍しています​。また食品分野や医療分野では金属粉の混入を嫌うため、金属を含まない樹脂ブラシが重宝されています。
  • 注意点
    樹脂ブラシもナイロンブラシ同様に過剰なバリ除去力は期待できません​。大きなバリには前段で金属ブラシ等を用い、仕上げ工程で樹脂ブラシに切り替えるなどの使い分けが有効です。また高温環境では樹脂毛が軟化・変形する恐れがあるため、使用温度範囲内で使う必要があります(一般的な合成樹脂毛の使用限界温度は60~80℃程度が多いです​)。樹脂の種類によっては長期間の使用で毛先が割れる(例:ポリプロピレン)こともあるため、定期的な点検と交換も忘れずに行いましょう。

ブラシとバリ取り機の相性が重要な理由

ブラシ選定において重要なのは、ブラシ単体の性能だけでなく「機械とのマッチング(相性)」です。どんなに良いブラシでも、使い方や機械設定が適切でなければ性能を発揮できず、最悪「ブラシは無力」となってしまいます。ここではブラシとバリ取り機の相性が仕上がり精度に与える影響と、適合しない場合に起こり得る問題例を説明します。

  • 最適な回転数・加圧の設定
    バリ取り機の回転数や押し付け圧力はブラシの種類ごとに調整が必要です。たとえばワイヤーブラシ(金属ブラシ)は高速回転で効果が向上し、ブラシ先端がワークを叩く回数を増やすことで除去力が高まります​。一方で砥粒入りナイロンブラシはむしろ低めの回転でゆっくり撫でるように当てる方がエッジ処理に効果的です​。もし設定を誤ると、ワイヤーブラシでは burr を叩き切る前に押し潰して残してしまうことがあり​、ナイロンブラシでは高速すぎて十分な研磨作用が得られないなど、仕上がりにムラが出てしまいます。機械側で回転数やブラシ押し当て量を細かく制御できる場合は、ワークのバリ高さや材質に合わせて最適条件を探りましょう​。
  • 振動や芯ブレの影響
    バリ取り機にブラシを取り付ける際の取り付け精度や固定方式も相性に関わります。ブラシが偏心して取り付けられたり、径が合っていないと高速回転時に芯ブレ(回転ぶれ)や振動が発生します。芯ブレが起きるとブラシ先端が安定して当たらず、バリ取りの精度低下や仕上がり不良、ブラシの偏摩耗につながります。また不要な振動は機械本体の寿命低下や騒音の原因にもなります。ブラシ交換時には芯出しを確実に行い、適合するホルダーやチャック機構でしっかり固定することが大切です。
  • ブラシ形状と機構のマッチ
    バリ取り機の中には、ブラシが複数本配置されていたり、揺動(オシレーション)機構や正逆回転機構を備えたものがあります​。こうした機構にブラシを対応させることで効果を最大化できます。例えば6本ブラシ構造の機械では奇数配置により全方向からバリにアプローチでき、生産効率が向上します​。しかし不適合なブラシを使うと機構の利点を活かせず、取りきれない方向のバリが残ったりします。狭穴用のエンドブラシを使うべき所でホイールブラシを使ってもうまく穴の中のバリは取れません。ワーク形状に合ったブラシ形状を機械にセットすることも相性上の重要ポイントです​。
  • 冷却・研磨剤との組合せ
    ウェットタイプのバリ取り機では研磨液やクーラントを用いますが、ブラシ素材との相性も考慮します。ナイロンや樹脂ブラシは吸水による軟化に注意が必要ですし、研磨剤と併用することで研削力を上げられるブラシ(例えば研磨布ブラシ)もあります。機械がウェット対応かドライ専用かによって選ぶブラシも変わってきます。適合しない組合せではブラシが劣化したり、逆に研磨剤が詰まって性能低下を招く場合もあります。

以上のように、ブラシの種類ごとに最適な条件や機械側の機構との組み合わせがあります。相性が良ければバリ取り精度と生産性が向上しますが、適合していないと仕上がり不良やブラシ寿命の短縮など様々な問題が発生します。現場ではブラシメーカーや機械メーカーの技術者に相談し、ワーク材質やバリの程度に応じた最適な手法を提案してもらうのも有効です​。

トーバン工業の強み:ブラシと機械をトータル開発するメリット

創業150年以上の歴史を持つ当社トーバン工業は、バリ取り機「バリタック」シリーズをはじめとする表面仕上げ機械を自社開発・製造しています。その中で他社にはない強みの一つが、バリ取り機だけでなくブラシ等のツールも自社開発している点です​。ブラシと機械をトータルに手掛けることで得られるメリットをいくつか紹介します。

  • 最適なトータルバランス設計
    機械本体とブラシを一貫して設計できるため、両者の相性を最適化したバランスの良い製品を提供できます。例えば機械のモーター出力や回転数レンジに合わせてブラシ径・線材を選定したり、ブラシの重量や寸法に合わせてチャック機構や駆動系を設計できます。自社製ブラシであれば機械側で十分な動作テストを行った上で出荷するため、ユーザーは購入後すぐに安定したバリ取り加工を行うことができます。ブラシと機械を別々に手配する場合に比べ、チューニングの手間や不具合リスクが少ない点は大きな利点です。
  • 用途に応じたカスタマイズ提案
    当社ではユーザーの使用環境やワーク特性に応じてブラシと機械構成をカスタマイズ提案できます。「耐熱性が必要」「腐食性の液体を使う」「ワークがアルミで柔らかい」といった要望に対し、耐熱樹脂ブラシへの変更やステンレス製ブラシ採用など柔軟な対応が可能です。実際、ワーク材質やバリの状態に応じて様々な手法を組み合わせて提案し、お客様の求める仕上がりを追求しています​。ブラシメーカーと機械メーカーが別々だと辿り着きにくいオーダーメイドの最適解を、一社で完結できるのが強みです。
  • 検証データとノウハウの蓄積
    自社開発ゆえにブラシ素材の違いや新しい機構の効果を社内で蓄積しています。例えば「メッキ鋼板のバリには紙研磨ブラシが有効」「厚み0.1mm以下のバリならナイロンブラシでも除去可能」といった知見やテストデータを活かし、より良い製品開発とユーザーへのフィードバックを行っています。こうしたノウハウの蓄積により、当社のエンジニアがお客様に最適なブラシ・機種選定をアドバイスできる体制を整えています。「たかがブラシ、されどブラシ」という精神で培った専門知識がお客様の課題解決に直結します。

このように、ブラシとバリ取り機の両方を自社内で手掛けるトーバン工業だからこそ実現できるトータルバランスの良さがあります。実際、「製品だけでなくブラシ等のツールも自社で開発しております​」という姿勢で、一連のライン設備まで含めた総合提案が可能です。現場ごとのニーズに合わせた使いやすく効果的なバリ取りソリューションを提供できる点が当社の強みです。

特許技術紹介:「高速回転する研磨ホイールの芯ブレを防ぐ特殊チャッキング方式」

トーバン工業が誇る独自技術として、高速回転するブラシ研磨ホイールの芯ブレを防ぐ特殊なチャッキング方式があります。これは当社が開発し特許を取得している技術で、バリ取り機「バリタック」シリーズにも搭載されています​。

研磨用のブラシホイール(バフホイール)が毎分数千回転もの高速で回転する際、通常わずかな偏心や取り付け誤差があると遠心力で軸ズレ(芯ブレ)が発生します。芯ブレが起きるとブラシが振れ、加工面にムラを生じたり機械に振動ストレスがかかったりします。そこで当社は軸受部でブラシホイールを高精度にチャッキング(把持)する独自機構を開発しました​。この「軸受チャッキング方式」により、高速回転でもホイールのブレを抑え常に芯を正確に保持します​。簡単に言えば、回転工具をしっかりセンタリング固定する特殊ホルダーです。

この特許技術によるメリットは以下の通りです。

  • 仕上がり精度の向上
    芯ブレがないため、ブラシが常に一定の当たり方でワーク表面を加工できます。細かなバリも安定して除去でき、エッジの面取りも均一に仕上がります。複数本のブラシを使う機種でも全ブラシがブレなく回転することで精密な表面仕上げを実現します​。
  • ブラシ寿命・機械寿命の延長
    ブラシホイールが偏摩耗せず均一に減るため、結果としてブラシの交換サイクルが延びます。また振動の低減により、スピンドル軸受やモーターへの負担も軽減され、機械自体の耐久性向上にもつながります。高精度な回転が持続することでブラシ・機械双方の長寿命化に寄与します。
  • 安定した高速加工
    高速回転時の振動が抑えられるため、安全性と安定性が増し、加工条件の上限を引き上げることができます。従来は振動の心配から上げられなかった回転数でも、このチャッキング方式なら安心して使えるため、生産タクト短縮や難加工材への対応力アップにつながります。

実際の特許名称は公開できませんが、当社サイト上でも「高速回転で回る研磨ホイールを、高精度に持続させ、芯ブレを発生させない特殊チャッキング方式」として紹介しております​。トーバン工業はこのような独自技術によって、他社には真似できない高精度・高信頼性のバリ取り機械を提供しています。

まとめ

バリ取り機におけるブラシ選定ガイドとして、素材別の特徴と選び方、ブラシと機械の相性の重要性、そして当社トーバン工業の強みと特許技術について解説しました。要点を整理すると次の通りです。

  • ブラシ素材ごとの特長を理解
    鉄・ステンレスなど金属製ブラシは高い研削力があり重いバリ向き、ナイロン・樹脂製ブラシは柔軟で微細バリや仕上げ向きといった使い分けがあります。それぞれ適した被加工材と注意点を押さえ、「バリの大きさ・材質」に合ったブラシを選びましょう。
  • ブラシと機械のマッチング最優先
    ブラシ性能を最大限に引き出すには、機械側の設定や機構との適合が不可欠です。回転数・当て方の最適化、芯ブレ防止、ブラシ形状とワーク形状のマッチなど、トータルで条件を整えることで精度の高いバリ取りが可能になります。逆に相性が悪いとブラシ本来の効果も発揮されません​。
  • トーバン工業のトータル開発による安心感
    当社ではブラシから機械まで一貫開発しているため、購入時から最適な組み合わせを実現しています​。用途に応じたカスタマイズ提案やアフターフォローも万全で、現場ごとのニーズに合わせたベストなバリ取りソリューションを提供します。
  • 独自技術でワンランク上の仕上がり
    特許取得のチャッキング技術により、高速加工時でもブレのない安定したバリ取りを実現しています​。精密部品のエッジ仕上げなど高度な要求にも応えられる機械として、信頼性と精度を両立しました。

バリ取りブラシの選定は一見地味ですが、適切な選択が製品品質や生産効率を左右する重要なポイントです。素材特性の理解と機械との相性を踏まえて最適なブラシを選び、是非現場のバリ取り工程にお役立てください。トーバン工業では培った経験と技術で、皆様のものづくりを全力でサポートいたしますので、​お気軽にご相談ください。

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