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「面取り」でなぜバリが出る?二次バリの原因と、対策・自動化を解説

2026.05.26

1. はじめに:面取りとバリの悩ましい関係

金属加工の現場において、図面に「C0.2」や「糸面取り」といった指示があることは日常茶飯事です。指示通りに角を落として面取り加工を施したはずなのに、「なぜか端にチクチクとしたバリが残ってしまう」「バリを取るために面取りをしたのに、かえって別の方向にバリが押し出されてしまった」……。そんなお悩みを抱えて、現場で頭を抱えている担当者様も多いのではないでしょうか。

私たちトーバン工業は、1860年の創業から160年以上にわたり、日本の製造業における「エッジ仕上げ」の課題と向き合ってまいりました。長きにわたるバリ取り機・研磨機開発の歴史の中で見えてきたのは、面取り加工とバリの発生は切っても切れない関係にあるものの、正しい知識と対策を用いれば確実にコントロールできるという事実です。

本記事では、面取り加工でバリが発生する根本的なメカニズムから、現場を最も悩ませる「二次バリ」の正体、そして明日から実践できる加工条件の見直しや自動化のソリューションまで、どこよりも分かりやすく丁寧に解説いたします。面取り工程の品質安定化を目指す皆様、ぜひ最後までご覧ください。


2. なぜ面取り加工でバリが発生するのか?そのメカニズム

面取りは、加工した部品の角を整え、扱いやすくするための重要な工程です。しかし、条件が少しでも合わないと、作業後に不要な突起が残ってしまいます。なぜ、角を削っているのにバリが出てしまうのでしょうか。

2.1 刃先の動きと素材の「逃げ」

バリが発生する背景には、工具と素材の物理的な干渉があります。刃物が素材へと入っていく部位では、素材の組織が刃物から逃げるように変形してバリが発生します。また、刃物が素材から出ていく部位(抜け際)では、素材の組織が切削方向へ押し流され、切りくずが引きちぎられる瞬間にバリが残ってしまうのです。これは、ゲル状の物体を指で強く押すと、押した周囲が軽く盛り上がる現象に似ています。

2.2 発生するバリの代表的な「3つの種類」

面取り加工で発生するバリは、主に以下の3種類に分類されます。種類を見分けることで、工程のどこに問題があるのかを推測しやすくなります。

  • ロールオーバーバリ:切削方向へ金属などの素材が押し流されてできる突起です。工具の切れ味が低下していたり、送り量が不安定だったりする場合に生じやすくなります。
  • 返りバリ(カエリ):工具が抜ける瞬間に、素材が裏面や出口側へ薄くめくれ上がるように残る部分です。非常に薄いため見落としやすく、検査漏れの原因になりがちです。
  • ポアソンバリ:工具が素材を上から(あるいは横から)強く押しつぶした(圧縮した)際に、素材が横方向にプニッと押し出されるようにして発生するバリです(ポアソン比に由来)。切削の負荷が高い箇所でよく見られます。
2.3 素材ごとの「バリの出方」の違い

扱う素材の性質によっても、バリの発生しやすさや形状は大きく変わります。

  • :素材自体が硬いため、切れ際が割れやすく、鋭い突起状のバリが残りやすい特性があります。
  • アルミ:非常に柔らかい素材であるため、切削時に刃物から逃げやすく、薄い返りバリが長く伸びて残りやすい傾向にあります。
  • ステンレス:粘りが非常に強く、削りきれない部分が厚く残るため、重たく硬い頑固なカエリが発生しやすいのが特徴です。
  • 樹脂(プラスチック):金属と異なり、刃物から受けた力が逃げにくく、切れ際が伸びたまま固まりやすいため、糸引き状の細長いバリやフィルム状のバリになりやすい特性があります。

3. 現場を最も悩ませる最大の敵「二次バリ(2次バリ)」とは?

汎用旋盤やNC旋盤に限らず、面取り加工において最も頻繁に発生し、作業者を悩ませるのが「二次バリ(カエリバリ)」です。

3.1 二次バリが発生する仕組み

二次バリとは、元々あったバリ(一次バリ)を除去するため、あるいは図面指示に従って面取りを行った結果、その面取りの端部に新しく発生してしまった二次的なバリのことです。バリを取るために削ったのに、削った方向とは逆側に新たなバリが押し出されてしまう現象であり、これが起きると「二度手間、三度手間」となり、作業効率が著しく低下してしまいます。

3.2 砥材の選択ミスが二次バリを助長する

特にステンレスやアルミのような「粘りのある素材」はバリが返りやすく、二次バリが発生しやすい傾向にあります。手作業で仕上げを行う際、製品の硬さや粘りに合わない研磨材(例えば、当たりが柔らかすぎるアルミナ系の砥材など)を使ってしまうと、バリを綺麗に削り落とすことができず、ただバリを反対側へ倒すだけになってしまい、結果として二次バリの発生を助長してしまうのです。


4. 面取りでバリ・二次バリを出さないための「5つの具体的対策」

では、この厄介なバリや二次バリを防ぐにはどうすればよいのでしょうか。基本となる5つの対策をご紹介します。

対策①:切削条件(送り量・回転数)の最適化

送り量が速すぎる(過大である)と、切削抵抗が急激に変動して刃先への負荷が増え、エッジ部の変形が大きくなってバリが生じやすくなります。反対に、送り量が遅すぎる(小さすぎる)場合は、摩擦熱が高まって工具の摩耗が早く進んでしまいます。また、切り込み量が大きすぎると工具がわずかに逃げてしまい、エッジを引きずって薄いカエリの増加につながります。素材に合わせた送り量、回転数、切り込み量のベストバランスを見極めることが重要です。

対策②:工具の選定とこまめなメンテナンス

工具の状態はバリの発生に直結します。工具が摩耗して刃先が丸くなると切れ味が落ち、金属を鋭く切断できずに切削方向へ押し流してしまうため、ロールオーバーバリが残りやすくなります。切れ味が悪くなってきたら早めに再研磨に出すか、工具を交換するなどの管理が不可欠です。また、工具の突き出し量が長すぎると、加工中にたわみが発生して切削軌跡が乱れ、カエリの増加を招くため、できる限り突き出し量は短く設定しましょう。

対策③:工程順序の工夫と見直し

加工の順番を工夫するだけでも、バリの発生を抑えることができます。一般的な機械加工において、穴あけや面取りの後に「全体の仕上げ加工」を行ってしまうと、仕上げツールによってまた穴のフチにバリが返ってしまうことがあります。セオリーとしては、「荒加工」や「仕上げ加工(外形など)」を先に終わらせ、最後に「面取り加工」を行うのが一般的です。面取りを最終工程(またはその直前)に持ってくることで、後工程でバリが再発するリスクを最小限に抑えることができます。

対策④:ビビりの防止と切りくず処理の徹底

ワーク(部品)の固定(クランプ)が甘かったり、治具の剛性が不足していたりすると、加工中に微小な振動である「ビビり」が生じます。ビビりは刃先の軌跡を乱すため、エッジ部にカエリが増える大きな原因となります。また、切りくずの処理が不十分で刃先に絡みついた状態のまま加工を続けると、エッジを引きずる動きが増え、薄いカエリが残る原因となります。クーラント(切削油)などを適切に使用し、切りくずをスムーズに排出させることが大切です。

対策⑤:手作業における適切な工具・砥材の選択

手作業で面取りや二次バリの除去を行う場合は、素材に合った工具選びが仕上がりを左右します。アルミのような柔らかい素材には刃あたりの軽い工具が適していますが、ステンレスのような硬く粘りのある素材には、コシのある工具(平ヤスリやダイヤモンドバーなど)が向いています。 また、研磨シートやディスクを使う際は、砥粒(砥材)の種類に注意が必要です。粘りのあるバリに対しては、当たりの柔らかいアルミナ系ではなく、研削力が強くバリを「弾き飛ばす」ように除去できるジルコニア系の強い砥材を使用することで、バリが倒れて二次バリになるのを防ぐことができます。


5. たかがバリと侮るなかれ。放置が引き起こす3つの重大リスク

「少しの出っ張りくらいなら問題ないだろう」とバリを放置することは、企業にとって致命的なトラブルの引き金となります。

リスク①:製品の寸法精度悪化と密閉性の低下

基準面にバリが残っていると、測定時に正しく寸法が測れず、計測誤差が生じます。また、部品同士を組み立てる際にガタつきが生じたり、油圧・空圧機器においてシール材(Oリング)を傷つけ、オイルや空気の漏れ(密閉性の低下)を引き起こす原因となります。

リスク②:脱落による製品の故障・事故の誘発

使用中の振動などでバリが根本から脱落することがあります。電気製品の場合、脱落した金属バリが回路基板上に落下すると、ショートなどの電気的トラブルや発火を引き起こしかねません。また、摺動部や回転部にバリが挟まると、機械の異常摩耗や動作停止、焼き付きなどの重大な故障につながります。

リスク③:作業者やお客様の「ケガ」への直結

金属のバリは非常に鋭利な刃物のような状態です。現場での部品搬送中や組み立て作業中に、作業者が手や指を切る労災事故の原因となります。さらに、最終製品にお客様が触れてケガをしてしまった場合、安全性の欠如として企業の信用問題に直結します。


6. 手作業によるバリ取りの限界と「自動化」へのシフト

これまで、面取り後の微細なバリや二次バリの除去は、熟練工がヤスリやスクレーパーを使って手作業で行うのが一般的でした。

6.1 手作業の課題と品質のバラつき

手作業は対象物に直接作用するため確実な除去が可能ですが、作業者の力加減や工具を当てる角度がわずかにズレるだけで、加工面が荒れたり製品の角が欠けたりしてしまいます。仕上がりの品質にバラつきが生じやすく、再現性を保つのが難しいという課題があります。さらに、バリ取り作業は手先のケガのリスクも伴う負担の大きい工程であり、近年の熟練工不足も相まって、現場の大きな悩みとなっています。

6.2 「ブラシ」を使った自動化が二次バリを抑え込む

そこで強く推奨されるのが、機械を活用した「バリ取りの自動化」です。自動化することで、作業者を負担の大きい労働から解放し、品質を常に一定に保つことができます。 特に、専用機を用いたバリ取りにおいて効果を発揮するのが「ブラシ」の使用です。ブラシはカッターや砥石などの硬い工具に比べて柔軟な弾性があるため、被削材を過剰に削りすぎたり傷めたりする可能性が低く、面取り時に発生しやすい「二次バリ」の発生を効果的に抑え込むことが期待できます。


7. トーバン工業が提案する、バリレスなエッジ仕上げソリューション

私たちトーバン工業は、1860年の創業から続く研磨技術の蓄積により、面取りとバリ取りの課題を同時に解決する先進的な自動化ソリューションを提供しています。

7.1 芯ブレを極限まで抑える特許技術「軸受チャッキング方式」

当社の自動バリ取り機「バリタック(BURRY TACK)」シリーズを支えているのが、特許技術である「軸受チャッキング方式」です。高速回転する研磨ツールの「芯ブレ」は、ワークへの過剰な削り込みを生み、二次バリを発生させる最大の原因となります。当社の技術はこの芯ブレを極限まで抑え込み、長時間稼働でも極めて安定した、高精度なエッジ仕上げを実現します。

7.2 コンビネーション加工で二次バリを許さない

トーバン工業では、研磨布紙(ベルト)と回転ブラシの特性を組み合わせた「コンビネーション加工」をご提案しています。まず研削力の強いベルトで大きな一次バリを一気に取り除き、その後、柔軟なブラシでエッジに滑らかなR面取りを施しながら馴染ませることで、厄介な二次バリの発生を根本から封じ込めます。

7.3 多彩なワークに応える「バリタック」シリーズ

お客様の製品形状に合わせて、最適な機種をお選びいただけます。プレス品やレーザー加工品に幅広く対応したスタンダードモデルである「BURRY TACK Ⅲ-CT型」シリーズや、メッキ鋼板など表面を傷つけたくない製品の加工に特化した「BURRY TACK PB型」など、多彩なラインナップで現場のあらゆる課題に応えます。


8. まとめ:最高のエッジ品質で、製品への信頼を高めよう

「面取り加工」は、単に部品の角を落とすだけの作業ではありません。適切な工具選び、切削条件のバランス、そして厄介な二次バリをいかに抑制するかというノウハウが詰まった、製品品質を決定づける極めて重要な工程です。

条件の見直しや手作業での工夫にはどうしても限界があります。「面取り後の二次バリがどうしても取れない」「手作業のバラつきをなくし、品質を安定させたい」「作業者の負担を減らして自動化を進めたい」。

そのような課題に直面された際は、ぜひ一度、トーバン工業株式会社にご相談ください。160年を超える歴史の中で培った確かな技術力と、最新の自動バリ取りソリューションで、皆様の「最高のものづくり」を全力でサポートいたします。

実際のワークをお持ち込みいただいてのサンプルテストや、ショールームでの実機見学も随時承っております。まずは、お気軽にお問い合わせください。

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