お役立ち情報
USEFUL
「バリ」と「カエリ」の違いを徹底解説!金属加工の品質を高めるエッジ処理の秘訣
2026.02.10
金属加工の現場で避けては通れないのが「エッジ(角部)」の処理です。図面等の指示によくある「バリ、カエリなきこと」という一文。皆様も一度は目にされたことがあるのではないでしょうか。しかし、現場で「これはバリだ」「いや、カエリだ」と用語が混在してしまい、対策に迷ってしまうというお声もよく伺います。
私たちトーバン工業は、1860年の創業以来、長きにわたりバリ取り機や研磨機の開発を通じて、日本のものづくりを支えてまいりました。その中で培った知見をもとに、今回は「バリ」と「カエリ」の細かな違いから、放置することで起こるリスク、そして効率的な除去方法まで、どこよりも分かりやすく丁寧にご紹介します。
現場の品質管理にお悩みの皆様、ぜひ最後までご覧ください。
1. 知っているようで知らない?「バリ」と「カエリ」の言葉の定義
まず、結論から申し上げますと、日本の公的な工業規格であるJIS(日本産業規格)において、「カエリ」という独立した用語の定義は存在しません。
JIS規格ではすべて「バリ」
JIS規格(JIS B 0051)では、エッジに発生する不要な突起物を一括して「バリ」と定義しています。
具体的には、「部品のかどのエッジにおける、幾何学的形状の外側の残留物で、機械加工または成形工程における部品上の残留物」と説明されています 。
つまり、規格上はカエリも「バリの一種」として扱われます。
現場で使い分けられる「カエリ」のニュアンス
では、なぜ現場では「カエリ」という言葉が使われるのでしょうか。それは、発生する現象や見た目の状態によって、言葉を使い分けたほうが対策を立てやすいからです。
一般的に現場では、以下のように使い分けられることが多いです。
| 呼び方 | 主な特徴 | 発生しやすい箇所 |
|---|---|---|
| バリ | 加工の進行方向に材料が押し出され、厚みを持って残ったもの | 切削面の端、穴あけの出口など |
| カエリ | 刃物が抜ける際などに、薄い皮のようにめくれ上がった状態 | プレス加工の裏面、ドリルの抜け際 |
| 返りバリ | 一度倒れたバリが反対側へ固まり、頑固に残ってしまった状態 | 往復切削の端面など |
「カエリ」は、言葉の通り「材料がめくれて帰ってきた」ような、比較的薄いものを指す際に好んで使われます。研ぎの分野などでも古くから使われてきた、日本独自の現場用語と言えるでしょう。
2. なぜ発生する?「バリ・カエリ」が生まれるメカニズム
「なぜ、これほどまでにバリやカエリは発生するのか」と頭を抱える担当者様も多いでしょう。これらは金属材料が加工の力に耐えきれず、完全に切れずに「伸びてしまった」結果として現れます。
2.1 切削加工で起こる現象
切削加工では、刃物が金属を削り取る際、エッジの端っこで材料を支えるものがなくなるため、材料が逃げるように変形してしまいます。
- ポアソンバリ
刃物が押し込む力で、横方向へ材料がぷくっと膨らむように発生します 。 - ロールオーバーバリ
刃物がワークから離れる瞬間、最後の一皮が切れずに前方向へ倒れ込むことで発生します。これは比較的大きなバリになりやすい特徴があります 。
2.2 プレス(せん断)加工で起こる現象
プレス加工で発生するものは、主に「カエリ」と呼ばれます。その大きな原因は、金型の「クリアランス(隙間)」にあります。
- クリアランスが適正でない場合
パンチ(雄型)とダイ(雌型)の隙間が広すぎたり、金型が摩耗して刃先が丸くなったりすると、材料が引きちぎられるように伸びてしまい、鋭利で大きなカエリが発生します 。 - クリアランスが狭すぎる場合
逆に隙間が狭すぎても、二次せん断という現象が起きてしまい、不自然な形状のカエリを招くことがあります。
このように、加工条件や金型の状態によって、バリやカエリの「育ち方」は大きく変わるのです。
3. 放置は禁物!バリ・カエリが引き起こす3つの重大リスク
「たかが小さな出っ張り」と思われがちなバリですが、実は製品の運命を左右するほどの影響力を持っています。ここでは、代表的な3つのリスクをご紹介します。
① 作業者やお客様の「怪我」のリスク
金属のバリは、時にカミソリのように鋭利です。作業中に手を切る労災事故はもちろん、製品を手に取ったお客様が怪我をされてしまうと、製造物責任法(PL法)に基づき、企業の責任を厳しく問われることにもなりかねません 。
② 製品の「故障・不具合」のリスク
製品の中に残った微細なバリが、使用中にポロッと脱落することがあります。これが厄介なトラブルを招きます。
- 油圧・空圧機器
剥がれたバリがシール材(Oリング)を傷つけ、オイル漏れの原因になります 。 - 電子機器
金属のバリが基板の上に落ちると、回路をショートさせ、発火や故障を引き起こします。
③「精度悪化」と組立不良のリスク
精密な組み立てが必要な部品において、バリの存在は致命的です。
基準面にわずかなバリがあるだけで、測定値に狂いが生じたり、部品同士がうまく噛み合わなかったりします。無理に組み立てれば部品の変形を招き、製品全体の寿命を縮めてしまいます。
4. 効率的な除去方法:手作業から「自動化」へのステップアップ
バリやカエリをどう取り除くか。古くは熟練工の方がヤスリやナイフを使い、一つひとつ丁寧に取り除いてきました。しかし、現代の製造現場では「品質の安定」と「生産性の向上」が強く求められています。
手作業の限界
手作業は、複雑な形状にも対応できる柔軟性がありますが、どうしても作業者によって「削りすぎ」や「取り残し」といったバラつきが出てしまいます。また、怪我のリスクも高く、熟練工の不足という課題も深刻です。
バリ取り機による「自動化」のメリット
そこで注目されているのが、バリ取り機の導入です。 自動機を導入することで、誰が作業しても同じ高品質な仕上がりを実現できます。トーバン工業の導入事例では、作業スピードが手作業の約4倍になり、トータルコストを約40%削減できたというケースもございます 。
5. トーバン工業が選ばれ続ける理由:160年以上の歴史と特許技術
私たちトーバン工業は、単に機械を販売するだけのメーカーではありません。1860年の創業以来、金属加工の最終工程である「仕上げ」の悩みを、お客様と共に解決してまいりました。
私たちの強みは、独自に開発し、特許を取得している「軸受チャッキング方式」にあります 。
芯ブレを抑える「信頼の技術」
高速回転する研磨ホイールは、わずかな「芯ブレ」が命取りになります。ブレがあると、ワーク(製品)を均一に磨くことができず、逆に二次バリを発生させてしまうこともあるのです。
トーバン工業の特許技術は、この芯ブレを極限まで抑えることで、長時間にわたり安定した、美しい仕上げを可能にしました。
バリとカエリに合わせた多彩なラインナップ
お客様が扱うワークは、小さなネジから大きな板金まで千差万別です。私たちは、それぞれの悩みに合わせた「バリタック(BURRY TACK)」シリーズを展開しています。
- BURRY TACK Ⅲ-CT型
プレス品やレーザー加工品のバリ取りに最適な、長年のベストセラーモデルです 。 - BURRY TACK SP型
「段差のあるところにカエリがあって取れない」というお悩みに。独自のオシレーション(揺動)機構で、複雑な形状のバリも逃さずキャッチします。 - BURRY TACK PB型
表面を傷つけたくないメッキ鋼板や、デリケートなシール材などのバリ取りに特化したモデルです 。
6. まとめ:最高のエッジ仕上げは、製品の信頼に直結します
「バリ」と「カエリ」という言葉の違い。それは規格上の名称の差だけではなく、現場での「こだわり」の現れでもあります。適切な知識を持って対処することは、製品の品質を守るだけでなく、御社のブランド力、そして大切な作業者の皆様の安全を守ることにもつながります。
「このカエリ、どうすれば綺麗に取れるだろうか?」「バリ取りの工程を自動化して、もっと楽に、高品質にしたい」
そんな風に思われた際は、ぜひ私たちトーバン工業にご相談ください。長年の歴史で培った技術と、最新の自動化ソリューションで、皆様のものづくりを全力でサポートさせていただきます。
ショールームでの実機見学や、サンプル研磨も随時承っております。まずは、お気軽にお問い合わせください。
